第483話【東芝のビジネスモデル】

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今日も読んでいただき有難うございます。

企業の事例をもとに毎月第1月曜日に
ブログとメルマガを発行しています
経営戦略コンサルタント渡邉ひとしです。

パブリックスピーキングの課題となる
スピーチ原稿のテーマが
人生で一番努力した経験でした。

それは社長退任までの1年間です。

会社役員として10年ほど務めた頃
新会社設立と社長就任を
創業者から命ぜられます。

そのとき従来の上司と部下の立場が
逆転するのを想像し
背筋に悪寒が走りました。

やがて降って湧いたような
災いが起こりました。

30年以上のサラリーマン生活で
敬意を持って接してきた上司が
その出来事を境に態度を豹変させます。

戦後の日本は
年功序列の制度が功を奏し
経済が急成長を遂げました。

その成功体験を
身体の芯まで染み込ませた世代にとって
部下が上司になる事実を前に

社命を受け入れ難かった衝撃は
計り知れません。

この違和感が組織破壊へ繋がるのに
それ程多くの時間を要しませんでした。

私が陣頭指揮を取り
目覚ましい成果をあげると
組織の水面下で不審な動きが始まります。

その事実を知りながら放置したのは
強固な信念を持ちながら
判断した結果でした。

組織の上層部による感情のもつれが
社員に及ぼす悪影響は数知れず
無益な衝突を避けるのが最善策です。

しかし内外から受ける
疑念の眼差しと
心無い言葉の刃は心身を切り刻み

死の予兆を思わせる症状を
全身に浮き立たせました。

医師の診察を受ける暇も無く
表面的に平静を装う
我慢の日々が続きます。

苦境に立っても
社員と顧客を守り抜く決意は固く

最後まで任期を全うし
劇場型企業の幕を降ろしました。

苦難を抱え大きな決断を下すのは
それまで歩んできた
人生の分水嶺の瞬間です。

中小企業も大企業も
日本の市場に於いては

同じ外部環境のもとで
懸命に営業活動をしています。

大企業の課題や経営手法を観察することで
自社の経営に活かしてください。

今日の企業事例は第483話
【東芝のビジネスモデル】です。

 

(*写真はイメージです)

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東芝グループの純粋持株会社 

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1875年に
田中久重氏が電信機工場を創設しました。

1882年に
田中大吉氏が田中製造所を設立しました。

1893年に
田中製作所から芝浦製作所としました。

1904年に
芝浦製作所が法人化して
<芝浦製作所>となりました。

1939年に
<芝浦製作所>が<東京電気>を合併し
<東京芝浦電気>に商号を変更しました。

1984年4月に
<東芝>に商号を変更しました。

2000年に
浜松町の東芝ビルディングを本店としました。

2006年1月に
<ウェスティングハウス・エレクトリック>を
買収し原子炉装置製造メーカーとなりました。

2008年11月に
リーマン・ショック後の財政状態悪化で
<東芝不動産>を売却しました。

2015年7月に
粉飾決算事件で経営陣が引責辞任しました。

2017年8月に
東証1部・名証1部から東証2部・名証2部に
指定替えとなりました。

2021年1月に
東証2部・名証2部から東証1部・名証1部に
3年半振りに指定替えとなりました。

 

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<東芝>のビジネスモデル

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2021年6月に
東芝深谷事業所の建屋解体工事が
始まりました。

日本初のカラーテレビ専門工場として
1965年に誕生し
映像機器や部品を生産してきました。

東京ドームの建築面積
約6倍の敷地に巨大な建屋が軒を連ね
その解体工事は2023年3月末まで続きます。

2021年6月に
電力の供給・制御に使うパワー半導体で
電力損失を低減する技術を開発しました。

脱炭素化に向けて
電力効率の向上が求められており

電力のスイッチ切り替え時に生じる損失を
最大約40.5%抑えられます。

2021年7月に
再生医療向けの装置・ソフトウエア事業を
新会社として独立させました。

研究開発を主導していた
研究者2人が新会社に出資し
代表取締役に就任します。

2人が議決権の過半を握り
<東芝>から独立した企業とすることで
意思決定のスピードを速め

拡大が見込まれる
再生医療の市場を取り込む狙いです。

2021年7月に
太陽光発電所の運用・保守を手掛ける
国内企業と業務提携すると発表しました。

これまでの太陽光発電事業は
大型発電が中心でしたが

出力500~2000kW程度の
中規模な発電所の運用・保守を手がけ
事業の領域を広げる考えです。

2021年8月に
定時株主総会を経て暫定となった体制を
新体制にする計画を表明しました。

新たな取締役会議長らを選任し
コーポレートガバナンスを立て直し
経営の正常化を急ぐ考えです。

2021年10月に
複数の移動ロボットの運行を
制御する技術を開発しました。

掃除や警備、運搬用などのロボット同士が
相互に直接通信できるようにし

衝突を避けたり
一緒にモノを運んだりできます。

メーカーが異なっても
連携させられるのが特徴で
標準仕様としての普及を進めます。

2021年11月に
会社全体を主要事業ごとに
3分割する検討を始めました。

これまではグループで7つの部門を抱え
水処理や交通システムなどの社会インフラ

発電設備などエネルギーと半導体
デジタル機器の記憶装置である
ハードディスク駆動装置などの事業ですが

本体とグループで手がける事業を
インフラ、デバイス、半導体メモリーの
3つに振り分け会社を再編成します。

収益構造や成長戦略が
それぞれ異なる事業を独立させ
各事業の価値を明確にする狙いです。

2021年12月に
福岡県の火力発電所近くに排出されるCO2を
液化・圧縮するための設備を建設します。    

バイオマス燃料を使う火力発電所で
分離・回収したCO2を
輸送しやすくするための設備で

温暖化ガス排出量を減らすための
技術開発の一環で
脱炭素関連の需要に対応する考えです。

2021年12月に
ハードディスク駆動装置の記憶能力を
大幅に高める技術を開発しました。

データセンター向け製品で活用し
現状比約1.7倍に当たる記憶容量
30テラバイト超の製品開発を目指します。

データセンターへの投資が旺盛なため
需要を取り込む考えです。

2022年1月に
安全性の高い独自のリチウムイオン電池
の新製品を発売したと発表しました。

負極にチタン酸リチウムを使うことで
高い安全性や長寿命
急速充電性を実現しました。

急速充電を必要とする
自動車向けなどとして売り込みます。

2022年2月に
石川県の工場内にパワー半導体を製造する
新棟を建設すると発表しました。

電力の制御などに使う
パワー半導体を製造するための新棟で

製造能力を2021年度から
2.5倍に引き上げる計画で
2024年度の稼働を見込んでいます。

2022年2月に
2021年11月に公表した分割案を
修正すると発表しました。

事業ごとに3つに分割する計画を2つにし
半導体を扱うデバイス事業のみ分離独立させ

発電機器などのインフラサービス事業は
本体に残し分割コストを圧縮する考えです。

2022年3月に
綱川智社長兼最高経営責任者が退任し
島田太郎の社長昇格を発表しました。

島田太郎執行役上席常務は社長に昇格し
会社を2分割する案について
予定通り進捗すると表明しました。

2022年3月に
高性能センサーによる計測距離を300m先まで
伸ばすことができたと発表しました。

レーザー光の反射を利用して
物体との距離を測る高性能センサーの

計測距離を従来比1.5倍に伸ばしながら
機器の体積を約4割減まで小型化しました。

道路監視や車載向けなどの
実用性が高まったとし
2023年度中の製品化を目指します。

2022年4月に
福島県に新設される陸上風力発電所の
風車46基の受注を発表しました。

国内最大規模の陸上風力発電所となる
大型案件となりました。

2022年5月に発表した
『2022年3月期』の連結決算は
純利益が前期比71%増でした。

車載半導体や
ハードディスク駆動装置などが好調で
発電設備なども伸びました。

2023年6月に
次世代の電動航空機向け中核部品の
生産に参入すると表明しました。

飛行時の動力源となるモーターで
数十人が乗る中型機で必要とされる

出力規模と小型・軽量化を
両立させる技術を開発しました。

2022年11月に
投資ファンドによる<東芝>の買収提案で
20社程度が出資する見通しと分かりました。

国内投資ファンド
<日本産業パートナーズ>による買収提案で
<オリックス><中部電力>などのほか

<損害保険ジャパン>や
<ゆうちょ銀行>も
出資を検討していることが分かりました。

今日の企業事例である
<東芝>を
少し俯瞰してみましょう。

2022年10月に
気象データを収集・解析する
サービスを始めると表明しました。

各地に設置されている
気象レーダーからデータを取得し

最大30分先のゲリラ豪雨を
予測できるシステムなどを提供します。

自治体や電力などの需要を見込み
災害対策などに役立ててもらう考えで

レーダー機器の開発の知見を生かし
2023年度の事業化を目指しています。

2022年7月に
川崎市の小向事業所内にある
研究開発拠点の起工式を実施しました。

約60年ぶりの建て替えで
12階建ての高層棟と
4階建ての低層棟です。

新たな働き方として
仕事内容によって働く場所を変える

アクティビティー・ベースド・ワーキング
を取り入れます。

個人での仕事や会議など
それぞれに適した場所を設け
席を固定せずに選べるようにします。

2022年7月に
原則出社を求めてきた
勤務体系を改めると表明しました。

国内連結会社の従業員約7万人のうち
事務や研究開発など
在宅勤務ができる約4万4千人が対象で

国内ならどこに居住してもいい
新制度も一部で試行する考えです。

2022年6月には
中長期の新事業計画を公表しました。

『2026年3月期』に連結売上高を
前期比20%増を目指します。

事業計画は再生可能エネルギーや
二酸化炭素の見える化など新規事業

交通やビルシステムの
データを活用した事業化

量子技術など先端技術の研究開発と
事業化を推進する考えです。

国内投資ファンドの
<日本産業パートナーズ>は

<東芝>の全株を買い取って
非公開化する提案を出しています。

日本企業による出資で
買収資金の大半を賄いますが
金融機関の融資確約も不可欠です。

一般的に投資ファンドは
株式の保有期間は5年程度が目安で

中長期の成長より
短期的な株主の利益が優先される
可能性が高くなります。

新たな成長戦略を描き
ビジネスモデルを再構築するのが
喫緊の課題となっています。

 

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*メルマガは毎月第1月曜日発行
次回は2023年1月9日の予定です。

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<令和元年度迄>
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