第468話 【レンゴーのビジネスモデル】

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おはようございます。
今日も読んでいただき有難うございます。

隔週月曜日に企業の事例をもとに
ブログとメルマガを発行しています
経営戦略コンサルタント渡邉ひとしです。

デジタルトランスフォーメーション
という言葉が聞かれるようになり
各業界での取り組みが進んでいますが

一方で
新型コロナウィルスの感染拡大で
事業領域を転換する企業も増えています。

こうした状況下では
同じ組織で働いていても

異なる景色を見ている社員が
混在するようになりました。

そのまま放置すれば
生産性の低下を招く事態に陥りやすく
何か手を打つ必要があります。

その特効薬となるのが
ミッションとビジョンの浸透です。

ところが
ミッションとビジョンの言葉が美しすぎて
社員に理解されにくいケースが多いのです。

何をすればいいか不明…
どこへ行こうとしているか見えない…
という表現になっているのです。

ミッションとビジョンは額縁に入れて
応接間に飾るものではありません。

ミッションとビジョンを表現する言葉が
作者の独りよがりになっていないか
今こそ見直す必要があります。

中小企業も大企業も
日本の市場に於いては

同じ『外部環境』のもとで
懸命に営業活動をしています。

大企業の課題や
経営手法を観察することで
自社の経営に活かしてください。

今日の企業事例は第468話
<レンゴー>です。

(*写真はイメージです)
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板紙や段ボールの業界で最大手

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1909年8月に
井上貞治郎氏が<三盛舎>で
日本で初めて段ボール事業を始めました。

1920年5月に
<聯合紙器>を東京で設立しました。

1938年2月に
本店を大阪市福島区に移転しました。

1957年3月に
本社研究所を開設しました。

1972年1月に
<聯合紙器>から<レンゴー>に
商号を変更しました。

1991年10月に
<福井化学工業>を合併しました。

1998年6月に
<朋和産業>を完全子会社化しました。

1999年4月に
<セッツ>を合併しました。

2000年7月に
<丸三製紙>を子会社化しました。

2009年5月に
<日本マタイ>を子会社化しました。

2011年5月に
<山陽自動車運送>を子会社化しました。

2018年9月に
<トッパンコンテナー>を
子会社化しました。

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<レンゴー>のビジネスモデル

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2020年9月に
<サン・トックス>の株式46%を
<トクヤマ>より譲受すると発表しました。

<サン・トックス>は
コンビニエンスストアで販売している

おにぎりやサンドイッチなどの
包装フィルムの製造が主力の会社です。

2020年10月に
ドイツの段ボール大手のメキシコ法人を
買収したと発表しました。

メキシコは北米市場向けの
自動車の一大生産拠点で
関連企業が集中しています。

2019年にメキシコでの
産業用段ボール事業に参入しており

自動車関連企業向けに
産業用段ボールの供給を強化する考えです。

2020年10月に発表した
『2020年4~9月期』の連結決算は
純利益が前期比13%減でした。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で
自動車や鉄鋼業界向けの
産業用段ボールの生産量が落ち込みました。

訪日客の減少により家電や土産物などの
包装に使う製品の需要が大幅に減り
売上高は3%減でした。

2020年11月に
<サントリーHD>や<東洋紡>などと
共同出資会社を設立しました。

プラスチックを燃やさずに
新たな原料とする『ケミカルリサイクル』
の研究開発を進めます。

資源の再利用に加え
二酸化炭素の排出を抑えた新しい技術として
2027年の実用化を目指します。

2020年11月に
生分解性の包装フィルムのブランド
『REBIOS』の立ち上げを表明しました。

包装フィルムはレジ袋と異なり
生分解性の製品の採用が遅れており

セロハンや紙と植物由来のプラスチックを
組み合わせた製品を展開する考えです。

2020年11月に
プラスチック削減につながる
植物由来の素材を強化すると表明しました。

自動車を軽量化できる
新素材セルロースナノファイバーの

実証プラントを2021年にも新設し
量産技術を開発し
自動車向け素材への参入を目指します。

セルロースナノファイバーは
紙の原料であるパルプを

ナノメートル単位に
細かくときほぐして作ります。

強度は鋼鉄の約5倍で
重さは5分の1といわれています。

2022年に化粧品向けも
生産能力を4倍に増やし

脱プラスチック需要を取り込み
段ボール以外の収益源を育てる考えです。

2020年12月に
ベトナムの段ボール大手を
買収したと発表しました。

人口増加や経済発展で需要拡大の見込める
ベトナム市場を開拓する狙いで

ベトナムで段ボールの2工場を持つ
<ビエンホア・パッケージング>の
全株式の94%超を取得しました。

2021年1月に
<大興製紙>が会社更生法の適用を申し立て
<レンゴー>との再建の模索を表明しました。

産業用包装紙製造の<大興製紙>は
穀物やセメントを入れる袋などに使われる
クラフト紙の国内需要の落ち込みや

原材料である石油とパルプの高騰
米中貿易摩擦による輸出向け包装紙の
需要減が倒産に至った理由です。

2021年2月に
エンタメ関連の包装材印刷で国内最大手の
<金羊社>を買収すると発表しました。

エンターテインメント分野に
事業領域を広げるとともに

<金羊社>のノウハウを吸収し
デザイン力や企画力を磨く狙いです。

2021年3月に
2022年4月に埼玉県で同社最大級の
物流拠点を設けると表明しました。

人工知能による搬出作業の一部自動化や
原紙のロールを運ぶ無人搬送機の導入で
作業効率を高め

中間原料の段ボール原紙を一時的に保管し
首都圏の成形工場に出荷します。

2021年4月に
子会社<レンゴー・トッパンコンテナー>
を完全子会社化しました。

凸版印刷の子会社でしたが
発行済み株式の60%を取得していました。

経営判断を迅速にして営業活動を強化し
首都圏などで販売を伸ばす狙いです。

2021年5月に発表した
『2021年3月期(前期)』の連結決算で
営業利益は前期比3%減でした。

自動車向けなど産業用の
段ボールの販売が回復し

巣ごもり需要を受け通販や食品向けの
段ボールの需要が安定しています。

2021年11月に
段ボール原紙を2022年2月1日出荷分から
1kg10円以上値上げすると発表しました。

ガスや古紙といった原燃料費の上昇や
段ボールを貼り合わせるのに使う
補助材料費や物流費の上昇分を転嫁します。

段ボール箱などの製品についても
原紙価格やエネルギーコスト

物流費や環境対策費用などの
上昇分をもとに
個別に価格改定を実施します。

2021年12月に
コート白ボールを2022年2月1日出荷分から
1kg15円以上引き上げると表明しました。

石炭や重油といった原燃料や
物流のコストの上昇のほか

二酸化炭素削減など
環境対策費用の負担増が理由で

化粧品や菓子の箱に使う白板紙の
値上げに踏み切ります。

2022年2月に
『2022年3月期』の連結純利益が
前期比2%減の見込みと発表しました。

原油価格の上昇で
主力の段ボールの輸送費や
製紙用の薬品のコストが膨らんでいます。

2022年3月に
段ボールの製造・販売の<ヒロパックス>
を子会社にしたと発表しました。

<ヒロパックス>は
プラスチックの成形品をつくる工場も持ち

段ボールに入れて運ぶ
荷物を入れる容器なども組み合わせて
提案できる点を強みとしています。

2022年3月に
段ボールの製造・販売の<大津製函>を
子会社にしたと発表しました。

<大津製函>の近くにある
<レンゴー>やグループ会社の工場から

原料である段ボールシートを供給し
各工場の稼働効率を高める狙いです。

今日の企業事例である
<レンゴー>を
少し俯瞰して見てみましょう。

段ボール箱が店頭や通信販売で
商品の魅力を伝える道具としての役割を
果たすようになってきました。

店頭で積み上げれば広告効果があるほか
短納期で少量から生産できることも特徴で

茨城県内の工場でデジタル印刷機を導入し
ロール状の段ボール原紙に
色鮮やかな画像をデジタル印刷しています。

デジタル印刷を販売促進に貢献する
新しい付加価値パッケージと位置づけて
デジパケという名称を商標登録しています。

小売業界の人手不足は慢性的で
店頭での品出し作業などの効率化が
課題となっているため

「店頭での人手不足と
通販の台頭が背景にある」

「簡単に開封して
そのまま店頭に並べられる
デジパケならば

商品を一つ一つ出して
陳列棚に並べる手間を省け
置くだけで販促効果も得られる」

とデジタル印刷を導入した経緯について
パッケージング部門開発本部課長の
藤野健氏は述べています。

SDGsが浸透し始め
世界の『脱プラスチック』の動きが
加速されてきました。

そんな中で『セロハン』が
見直され始めています。

1920年代後半から
国内で生産が始まった『セロハン』は
ピーク時には13社に達しましたが

今でも国内で生産を続けるメーカーは
2社だけになりました。

『セロハン』は紙と同様で
木材から取り出した繊維である
パルプを加工して製造します。

社内ではセロハン事業からの
撤退論も出てきましたが

「ペトロケミカルに対し
ウッドケミカルがあるが
今後はウッドケミカルが大事になる」

と大坪清会長が
その都度退けてきました。

2019年から
工場のDXを進めてきましたが

段ボール原紙の国内4工場で
センサーや人工知能を使い

ベテランの従業員の経験や勘を
データに置き換え

機械の故障を未然に防いだり
原料の使用量のムダを省いたりします。

生産現場の人手不足を踏まえ
成長を持続できる体制を整える考えです。

「業界の先陣を切って
DXに取り組んできた」

と<レンゴー>の
長谷川一郎副社長は述べています。

海外に於いては
東南アジアで稼働する工場は5カ国で
拠点数は新設予定を含め30カ所。

2020年にフィリピンの製紙会社へ出資し
マレーシアやタイでも
段ボール関連会社と連携を深めています。

「有能な人材獲得など
レンゴーグループに
多様なシナジーを生み出す」

「継続的な海外事業の展開により
真のグローバル化を目指す」

と<レンゴー>の
川本洋祐社長は述べています。

国内と海外で積極的な
企業のM&Aを進めていますが

国内で総合パッケージ企業としての
地位を確立できるか。

海外で収益力の強化を図れるかが
これからの課題となります。

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*メルマガは隔週月曜日
次回は4月4日月曜日の予定です。

★前号までの『企業事例』です

マツダ
アイリスオーヤマ
マルハニチロ
スシロー
ドン・キホーテ
オリックス
三井住友海上火災保険
ZOZO
メルカリ
LIXIL
ヤクルト本社

★上記以前に取り上げた455の企業事例は
 下記のブログで読むことができます。

Amebaブログ
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【投稿内容】
投稿内容の企業情報及びデータなどは
新聞や雑誌、ホームページなどの
公開情報に基づいた記述です。

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『なぜ、未来志向型経営なのか?』
▼解説のブログはこちらから
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『なぜ、大企業の事例が参考になるのか?』
▼解説のブログはこちらから
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編集・発行元
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◆オフィス
株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役
経営戦略コンサルタント
渡邉ひとし

Tel:052-766-6988
Mobile:080-4806-1553
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(社)ビジネスモデルイノベーション協会
   ビジネスモデルコンサルタント

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   SDGsビジネスコンサルタント

(社)日本経営心理士協会
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<令和2年度迄>
中部大学 非常勤講師
人文学部心理学科

<令和元年度迄>
愛知産業大学 非常勤講師
経営学部経営学科
造形学部建築学科
造形学部デザイン学科

<著書>
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