おはようございます。
今日も読んでいただき有難うございます。
隔週月曜日に企業の事例をもとに
ブログとメルマガを発行しています
経営戦略コンサルタント渡邉ひとしです。
今年1月6日に<パナソニック>が
『週休3日制』を選べる制度を
導入する方針を表明しました。
コロナ禍でのリモートワークや
働き方改革などにより
働き方の自由度が求められるなか
週休3日制を導入する企業が増えています。
「副業や学習、地域ボランティアなど
会社外での取り組みを推奨し
社員が働きやすい環境づくりを進める」
と<パナソニック>の
楠見雄規社長は考えを示しています。
週休3日制については社員の希望による
『選択的』週休3日制を
導入する企業が多いようです。
<塩野義製薬>は学びの機会の確保という
リカレント(学び直し)の観点で
週休3日制を導入していますが
社外での経験を自社の業務に
活用してもらいたい
という目的の『副業の解禁』も
週休3日制導入へ繋がります。
本業に影響が出ない範囲で
従業員に副業をしてもらうため
週休3日制が都合良いわけです。
週休3日制を導入するメリットは
『人材の確保』と言われていますが
導入のメリットとデメリットを
十分把握した上で目的を明確にし
従業員に丁寧な説明をする必要性が
経営者に求められます。
中小企業も大企業も
日本の市場に於いては
同じ『外部環境』のもとで
懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や
経営手法を観察することで
自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第465話
<マルハニチロ>です。
(*写真はイメージです)
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<マルハ>と<ニチロ>を起源とする会社
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2007年10月に
マルハグループ本社が<ニチロ>を
完全子会社にして両者が経営統合しました。
併せて<マルハグループ>本社が
<マルハニチロホールディングス>に
商号を変更しました。
2008年4月に
事業再編を実施しました。
マルハに<マルハ・ニチロ>の
水産事業を集約し
<マルハニチロ水産>に商号を変更。
ニチロに<マルハ・ニチロ>の
食品加工事業を集約し
<マルハニチロ食品>に商号を変更。
2014年4月に
<マルハニチロ水産>が関連会社を吸収合併し
<マルハニチロ>に商号を変更しました。
<マルハニチロホールディングス>
<マルハニチロマネジメント>
<マルハニチロ食品>
<マルハニチロ畜産>
<アクリフーズ>
マルハの低温物流事業を行っていた
マルハ物流ネットにニチロの物流部門を集約し
<マルハニチロ物流>に商号を変更しました。
2018年3月に
社名ロゴと『MARUHA NICHIRO』の
ロゴタイプを変更しました。
併せてブランドステートメントとして
「海といのちの未来をつくる」が
制定されました。
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<マルハニチロ>のビジネスモデル
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『2019年3月期』は連結純利益が
前期比6%増と3期連続で過去最高でした。
高級白身魚のメロなど
海外で魚を捕って販売したり
買い付けた魚を
加工したりする事業が好調なためです。
しかし売上高営業利益率は2%と
競合他社に見劣りします。
旧<ニチロ>の『あけぼの』ブランド
旧<マルハ>の『マルハ』ブランド
旧<アクリフーズ>の『アクリ』ブランド
と3ブランドあるため
効果的な販促につながりにくいと
言われていたため
2018年8月に発売された冷凍食品
『王様のソテーピラフ シーフードと
香り立つバター』から
『マルハニチロ』ブランドの商品として
順次移行させブランドを統合しました。
2020年4月に
人工知能でブリなど養殖魚の尾数を
管理するシステムの運用を始めました。
健康状態のチェックや
いけすを移し替える場合
カンパチとブリを併せて
年間1000万尾の
カウント作業が生じていました。
<Tokyo Artisan Intelligence>と
新たに組むことで
カメラで1秒間に数十枚の画像を撮影し
魚の特徴を学習した人工知能が
動いている魚の尾数を計測します。
従業員の体力的な負担を軽減できるほか
計測作業をしていた労力を減らし
いけすの修繕などの他の作業に充てられ
生産性を高めることできます。
2020年6月に
大手卸の<大都魚類>を
完全子会社化しました。
人口減や消費者の魚離れなどに伴う
水産市場の縮小が背景にあり
6月に改正卸売市場法が施行され
規制緩和で新たな商いが可能になった半面
市場内外での競争が
一段と激しくなりました。
2020年8月に
新型コロナウイルスの感染拡大で
業務用食品の販売が不振と表明しました。
巣ごもり消費で家庭用食品は
堅調に推移していますが
海外漁業や業務用食品の販売が苦戦し
高級食材の低迷も響いています。
2020年11月に
米国のサケマス事業から撤退すると
発表しました。
サケマスの加工販売を手がける
米国<ピーターパンシーフーズ>を
米国の水産物加工販売の
<ノースウェストフィッシュカンパニー>
に売却します。
原料のサケマスの魚価高騰や
漁獲減による生産減から不振が続き
アラスカ州でのサケマス事業からの
撤退を決めました。
2020年12月に
北海道夕張市の工場を2021年3月に
閉鎖すると発表しました。
夕張工場は1999年に操業を開始し
冷凍食品のフライ類やグラタンなどを
生産していましたが
グループの生産集約の一環で
収益力の改善を目指します。
従業員は北海道内の別工場などに
配置転換するほか
地元での雇用も斡旋します。
2021年1月に
ベトナムの水産加工を手がける会社を
連結子会社化すると発表しました。
<サイゴンフードジョイント
ストックカンパニー>は
魚を切り身に加工して出荷するほか
ベトナム国内で自社ブランドの
レトルト食品なども販売します。
子会社化して販路や拠点を活用し
ベトナムでの事業展開の
足がかりにする考えです。
2021年1月に
冷凍食品を生産する大江工場への
バイオマス発電の導入を表明しました。
冷食を加工時に発生する野菜の切れ端や
麺類の不良品などを発酵させ
発生したメタンガスを燃やして
発電することで二酸化炭素排出量を
年700トン減らせます。
発電した電力や廃熱は工場内で使い
エネルギー効率を高める考えです。
2021年2月に発表した
『2020年4~12月期』の連結決算は
純利益が前期比42%減でした。
コロナ禍での外食向けの
業務用商品も苦戦しましたが
前年同期に計上した受取保険金など
特別利益がなくなるほか
米国のサケ加工に関わる
事業整理損失の引当金を計上しました。
2021年6月に
<九州産業大学>の呼びかけに応じ
食品に含まれる菌のデータを共有します。
新たに大学が設置した
『食品微生物制御センター』が
食品メーカーから菌の提供を受け
2023年度を目処に900種類まで増やし
菌のデータベースを構築します。
データベースを活用して菌の増殖を抑えて
傷みにくい食品を開発したり
「味覚がいつもと違う」といった
消費者から問い合わせがあった場合に
素早く調査したりできます。
2021年9月に
サバの水煮缶を使って調理する
スープのもとシリーズを発売しました。
サバの水煮とスープのもとを皿に入れ
電子レンジで加熱するだけで完成する
『さば缶とたべる』シリーズは
新型コロナウイルス禍で
自宅で調理する機会が増えるなか
手軽なアレンジで楽しめる
レトルト食品としての需要を狙います。
2022年1月に
家庭用缶詰や瓶詰めなどの商品を
値上げすると発表しました。
原材料や包装資材
物流などのコストが上昇しているため
3月1日納品分から
家庭用缶詰や瓶詰めの参考小売価格を
約3~15%引き上げます。
今日の企業事例である
<マルハニチロ>を
少し俯瞰して見てみましょう。
2010年に民間企業として
世界で初めてクロマグロの完全養殖に
<マルハニチロ>は成功しました。
2015年から『ブルークレスト』という
ブランドで出荷を始め
出荷量が順調に増えました。
『2014年3月期』に341億円だった
漁業・養殖事業の売上高が
『2020年3月期』に392億円にまで
拡大する牽引役の1つとなりました。
完全養殖クロマグロに限ると
『2019年3月期』に
黒字化を達成しました。
完全養殖クロマグロの
原価の6~7割が餌代ですが
健康志向でサバ缶が人気となり
餌となるサバの価格が高騰したため
『2020年3月期』から赤字に転落し
養殖事業の収益力が低下しています。
「海洋資源は多くは増えない
新たな水産資源を供給する事業に
取り組まないといけない」
と<マルハニチロ>の
池見賢社長は述べています。
その施策の1つとして
『魚類細胞培養』技術の構築と
商業化への取り組みがあります。
魚そのものではなく
魚の細胞を育てる技術で
『切り身の養殖』とも言われ
2021年8月に細胞培養技術を持つ
<インテグリカルチャー>と
共同研究を開始し
培養魚肉の商業化を目指す考えです。
中国など新興国を中心に
魚の需要が高まり買い負けで
仕入れることができない魚種も多く
高級魚のメロなどは日本には
ほとんど入ってきません。
世界的な健康志向の高まりや
新興国の経済成長で
魚の消費量は増加が続くため
「将来的にはサーモンやタコなども
買い負ける可能性がある」
と<マルハニチロ>の
池見賢社長は述べています。
養殖事業のさらなる拡大などで
長期的な水産資源の確保を
目指す考えです。
<マルハニチロ>は魚介類の買い付け
販売などの『商事事業』と
『海外事業』『加工食品事業』で
売上高や利益の大半を稼いでいます。
なかでも『海外事業』は稼ぎ頭ですが
マスなどが不漁になると
海外事業は一転して営業減益になります。
自然現象に大きく左右される
ビジネスモデルは水産業の宿命ですが
自然現象に左右されにくいのが
『加工食品事業』です。
『世界の魚屋』と名乗り
海外事業を伸ばしてきましたが
国内で魚の消費が減る傾向で
高値での買い付けが
難しくなっています。
『世界の魚屋』という事業領域から
どれだけ早く脱皮できるかが
当面の課題となります。
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*メルマガは隔週月曜日
次回は3月21日月曜日の予定です。
★前号までの『企業事例』です
スシロー
ドン・キホーテ
オリックス
三井住友海上火災保険
ZOZO
メルカリ
LIXIL
ヤクルト本社
カゴメ
ユニ・チャーム
コーセー
ヤマハ
三越伊勢丹ホールディングス
コマツ
NEC(日本電気)
大王製紙
パナソニック
セイコーエプソン
★上記以前に取り上げた445の企業事例は
下記のブログで読むことができます。
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『なぜ、未来志向型経営なのか?』
▼解説のブログはこちらから
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渡邉ひとし
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(社)ビジネスモデルイノベーション協会
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<令和元年度迄>
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<著書>
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