第442話 <武田薬品工業>のビジネスモデル

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未来志向型経営戦略

[ 未来通信 0442]

おはようございます!

未来志向型 経営戦略コンサルタント
渡邉ひとしです。

従業員の採用基準は
今年も従来どおりですか?

「インターンから面談まで
すべてがオンライン前提に
変わってしまった」

と大学のキャリアセンター担当者が
述べています。

2021年卒の採用では急遽(きゅうきょ)
オンライン説明会や面接を導入し
不慣れな企業が多かったようですが

今年(2022年卒)の採用に関しては
オンライン採用を事前に準備し
さまざまな工夫を凝らしています。

会社説明会の様子をアーカイブにして
24時間いつでも見られるようにする。

企業があらかじめ設定した質問に対し
学生がスマートフォンなどで撮影した
動画で回答するオンデマンド面接など。

学生は大学の授業を
オンラインで受けることも多く

オンラインでの
インターンシップ経験などもあり
学生もオンラインに慣れています。

コロナ禍で採用枠を縮小している
業界や企業も増えてきたことで

学生優位を意味する
『売り手市場』に変化が出てきました。

一方、コロナ禍で
増収増益の記録を更新し続ける

『 IT業界』では採用意欲は旺盛でも
採用に変化が出ています。

『非 IT業界』の一般企業が
IT人材などのデジタル人材を
積極的に採用するようになったことで

デジタル人材の需要が高まり
新卒採用の年収が1000万円を超える
可能性も出ています。

中小企業も大企業も
日本の市場に於いては

同じ『外部環境』のもとで
懸命に営業活動をしています。

大企業の課題や
経営手法を観察することで
自社の経営に活かしてください。

今日の企業事例は第442話
<武田薬品工業>です。

(*写真はイメージです)
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海外の製薬会社を積極的に買収

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1781年6月に
武田長兵衛氏が薬種商を創業しました。

1895年に
自社工場を設立し
製薬事業を開始しました。

1915年に
大阪市に『武田製薬所』を開設しました。

1918年7月に
大阪府西成郡神津村に
<武田製薬>を会社設立しました。

1925年に
<武田長兵衛商店>と<武田製薬>が
合併し<武田長兵衛商店>として
会社設立しました。

1943年8月に
<武田長兵衛商店>を
<武田薬品工業>に商号を変更しました。

2011年に
スイスの製薬大手<ナイコメッド>を
買収しました。

2015年4月に
クリストフ・ウェバー氏が
CEOに昇格しました。

2019年1月に
アイルランドの製薬大手<シャイアー>
を6兆8000億円で買収しました。

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<武田薬品工業>のビジネスモデル

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2019年11月に
研究開発についての
メディア説明会を開催しました。

2024年度までにがんや中枢神経領域
ワクチンなどと合わせて14の新製品を
販売すると表明しました。

「14製品のほとんどが
標準治療を進化させる仕組み
もしくは全く新しい仕組みの治療薬だ」

とアンドリュー・プランプ取締役
(研究開発担当)は述べています。

がん免疫療法や遺伝子治療など
新規性の高い医薬品を効率的に
開発していく姿勢を強調しました。

具体的には<テキサス州立大学>
MDアンダーソンがんセンターと共同で

NK細胞を使った新しいがん免疫療法の
臨床試験の状況や

血友病に対する遺伝子治療などを
詳しく説明しました。

2020年1月に
『2021年度』からワクチンの
世界販売に乗り出すと表明しました。

ワクチンは大量に生産し
販売できる体制が必要で

欧米の製薬大手が
圧倒的なシェアを占めています。

日本勢がワクチンを世界規模で
販売するのは初となります。

2020年2月に
米国バイオ企業の<PvPバイオロジクス>
を買収したと発表しました。

2016年から自己免疫疾患の
治療薬の開発で提携しており

新薬候補の開発の進捗状況で
買収する条件をつけた契約を
結んでいました。

小麦などに含まれるグルテンによって
引き起こされる自己免疫疾患

『セリアック病』を治療する
新薬候補を開発していました。

2020年3月に
新型コロナウイルスに対する治療薬を
開発すると発表しました。

血液由来の医薬品開発技術を使って
新規治療薬を開発します。

人での安全性や有効性を確かめる
臨床試験(治験)を早期に始め

最短9カ月程度で
実用化することを目指します。

2020年4月に
開発中の新型コロナウイルスの治療薬で
米国<CSLベーリング>と提携しました。

<武田薬品工業>と<CSLベーリング>は
ヒトの血液由来の分野の世界大手で

両社が組むことで血液の収集など
開発を加速させる考えです。

この提携に英国やドイツ、スイスなどの
製薬会社が参加します。

2020年4月に
一般用医薬品(大衆薬)事業を
売却する方針を表明しました。

『アリナミン』『ベンザブロック』などを
販売している完全子会社の
<武田コンシューマーヘルスケア>を

売却額4000億円程度で
売却することを目指しています。

抗がん剤など主力の医療用医薬品事業の
新薬開発に経営資源を集中する考えです。

2020年5月に
『2020年3月期』の連結決算の売上高が
前期比57%増と発表しました。

国内の製薬会社として初めて
売上高3兆円を超える決算になります。

2020年8月に
米国で新型コロナウイルス感染症向けの
臨床試験を始めたと発表しました。

米国製薬大手の
<アッヴィ>や<アムジェン>などと
既存の薬を含む3種類について

数カ月かけて有効性を検証し
効果があれば
承認申請の手続きに入ります。

2020年8月に
一般用医薬品事業(大衆薬)を
米投資ファンド大手の

<ブラックストーン・グループ>に
売却すると発表しました。

「大きな変革には痛みを伴うが
乗り越えなければ持続的成長という
未来を実現できない」

と<武田薬品工業>の
クリストフ・ウェバー社長は述べています。

2020年10月に
<AWS>と<アクセンチュア>の
2社との提携を発表しました。

創薬や生産を含む企業活動に関する
電子データの約8割を

従来の社内サーバーから
<アマゾン・ウェブ・サービス>の
クラウドサービスに移行します。

安全で低コストのデジタル基盤を作り
外部の製薬会社との医薬品開発や
社内の業務効率化を加速する狙いです。

2020年12月に
米国<モデルナ>のワクチンの
日本での治験を始めると表明しました。

米国で緊急使用を許可されており
<厚生労働省>などと連携して
日本への供給準備を急ぐ考えです。

「特に高齢者の発症や重症化の予防に
つながることが確認されており
コロナの影響を受けやすい人々を守れる」

とワクチン事業トップを務める
ラジーヴ・ヴェンカヤ氏は述べています。

2021年2月に
新型コロナウイルスワクチンについて
日本での臨床試験の開始を発表しました。

国内の自社工場でライセンス生産する
米国バイオ製薬<ノババックス>が
開発中のワクチンの臨床試験です。

2021年5月に
米国バイオ企業<モデルナ>が開発した
新型コロナウイルス向けワクチンの

国内での臨床試験を完了し
治験データを<厚生労働省>へ
提出したと発表しました。

提出したのはモデルナ製ワクチンを
日本人へ投与した約200人分のデータで

1月から始めた国内治験で
被験者は28日間隔で2回接種し
安全性や有効性を確認できました。

「モデルナの治験結果を裏付けた
当局と協働しワクチンの選択肢を
提供する」

と日本ワクチン事業部長の
今川昌之氏は述べています。

<武田薬品工業>は
モデルナ製ワクチンを
国内へ流通する機能を担います。

今日の企業事例である
<武田薬品工業>を
少し俯瞰して見てみましょう。

2019年1月に
アイルランドの製薬大手である
<シャイアー>を買収しました。

6兆円超という巨額を投じて
日本企業では過去最大の
M&A(合併・買収)となりました。

売上高は世界の製薬会社で9位と
世界の製薬大手『メガファーマ』の
一角を担うまでになりました。

しかし上位企業との差は大きく
首位の<スイス・ロシュ>の
年間の研究開発費は約110億ドルで

<武田薬品工業>は
<シャイアー>の買収前から
5割増やしても45億ドルです。

2008年に約9000億円で買収した
米国の<ミレニアム・
ファーマシューティカルズ>など

従来はM&A(合併・買収)で
新薬候補を獲得してきましたが

<シャイアー>の買収を機に
自社での新薬開発を中心に据える

『創薬』型企業への脱皮を
目指しています。

さらに世界規模で劣る
<武田薬品工業>は
『選択と集中』の道をとります。

具体的には……

・消化器系疾患
・神経精神疾患
・癌(がん)治療
・患者数が少ない希少疾患
・人間の血液由来の成分を使う
 血漿分画製剤

の5つの領域に特化して
新薬を開発する考えです。

一般用医薬品(大衆薬)事業を
売却する方針を固めたのも

<シャイアー>の買収によって
膨らんだ負債を圧縮するためです。

2019年12月末時点で有利子負債は
5兆円超に膨らみました。

この債務圧縮のため
100億ドル(約1兆1000億円)規模で

非中核事業を売却する方針を
2020年4月に掲げています。

2020年8月には国内で勤務する
医薬情報担当者などを対象に
希望退職の募集を発表しました。

医師が自らネットで情報を
集められる時代になり

コロナ禍で対面のやり取りも減り
医薬情報担当者の営業モデルが
問い直されています。

がん治療などの重点領域に
特化する事業戦略を進める中で
組織体制を見直し

事業や人員、資産も含めた
聖域なき改革に取り組んでいます。

『2031年3月期』までに
本業の儲けを示すコア営業利益を

『2021年3月期』見通しに比べ
5割増の1兆5000億円以上に
高める方針を掲げています。

自社で大型新薬を育てる開発力と
<シャイアー>との統合効果を
より深めることができるか?

従来のM&A(合併・買収)による
事業成長のビジネスモデルから

新薬開発によるビジネスモデルへの
転換が求められています。

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〒503-0015 岐阜県大垣市林町7-265-1

渡邉ひとし

株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役
未来志向型 経営戦略コンサルタント
(社)ビジネスモデルイノベーション協会
    公認ジュニアコンサルタント
(社)空家再生機構 理事
岐阜県公認 コミュニティ診断士
岐阜市倫理法人会 事務長

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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 造形学部デザイン学科 非常勤講師
<著書>
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